僕が上場企業を辞めた理由 ⑬ 〜はじまり〜

最終更新: 2019年6月8日

デンバーで覚悟を決め、

帰国後の2016年12月に休職中の会社を訪問しました。


取締役管理本部長、総務人事部長、財務経理部長、

休職を頂いた時と同じメンバーと面談をしました。


「体調も元気になってよかったな」


「会社にはいつ戻ってきて、何から始めようか」


「みんな待ってるし、やることはたくさんあるぞ。」


具体的な復職プランについて話し始めました。

会社側からの期待を感じました。


その期待に応えられないことに躊躇いを感じながらも、

言葉を発しました。



「ありがとうございます。そして、すみません。」



一通り今までの処遇に感謝を表し、非礼を詫びました。


「このような特別な処遇をいただきありがとうございました。

感謝しております。色々考えたのですが、退職させてください。

ご期待に添えず大変申し訳ありません。」


気まずい空気が流れました。



「どういうこと?」



3人とも押し黙ったまま。

僕の心に3人の視線が突き刺さります。


申し訳ない気持ちに押しつぶされそうになりながら、

勇気を持って僕は正直に胸の内を打ち明けました。


「僕は、僕の経験を伝えていきたい。」


「僕は、マインドフルネスや予防医学を伝えていきたい。」


「僕は、笑顔が溢れる幸せな世の中に貢献したい。」


自分が本気で取り組んでみたいこと。

この休職期間中に経験したこと、感じたこと。


今の自分にこそできること。

何度も自分に問いかけたこと。


ただただ自分に正直に想いを言葉にしました。


「身体を壊し仕事がままならなかった時には辛かったです。

休職をご提案いただいたことは大変感謝しております。

正直嬉しかったです。今までの苦労が報われた気がしました。

元気になったらまたみなさんと仕事をしたいと思っておりました。」


「身体を壊し、悩みました。

どうして僕がこんな目に合うんだろうと。

どうしてこんな状態になってしまったのだろうと。

健康の有り難みを身に染みて感じました。」


「ご存知の通り、この2年間栄養学をはじめ、

自分が納得できるよう学んで参りました。

そして自問自答を繰り返してきました。」



「自分にとっての本当の幸せは何だろう。」


「何のために仕事をしているのだろう。」


「自分の生きがいは何だろう。」


「何のために生きているのだろう。」


「この病気の意味は何なのだろう。」



「だんだんと見えてきたのです。

僕にとっての幸せのかたち。

本当にやってみたいこと。病気の意味。」


「僕の経験を伝えていくことに価値があるのではないか。」


「同じように苦しんでいる人たちに何かを伝えることができるのではないか。」


「それが僕の使命に感じられるのです。」


「僕は僕の経験を伝えることで社会に問いかけてみたいと思うのです。

会社の中で仕事をするのでなく、社会と直接繋がり、

世の中の人に喜んでもらえるようなことをしたいと思うのです。」


「身勝手なことを申してるのは重々承知しております。

正直に話します。これが僕の今の気持ちです。ごめんなさい。」



一度、言葉を発したら淀みなく、

自分の中から自然と言葉が湧いてきました。

心の声が僕の声でした。


会社にしてみれば、


「伊藤は何を言ってるんだ」


「お前にマインドフルネスを語らせる為に休職を与えたわけではない」


「休職明けには会社に戻ってくるんじゃなかったのか」


という感じでしょう。


にも関わらず、3人はそのようなことは一言も発されず、

ただ僕の想いを聞き届けてくれました。


数分、もしかしたら、数秒の沈黙の後、

取締役管理本部長が一言。


「分かった。」


会社や上司を裏切ってしまうような感覚を覚えます。

自分の身勝手な振る舞いを思うと、

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。


ごめんなさい。


それでも、僕は他人の声ではなく自分の「心の声」に耳を傾けました。

マインドフルネスの実践で、閉ざされていた心の蓋が段々と開き始め、

かすかに聞こえ始めた「心の声」を大切にしようと思ったのです。


「もしも、この心の声を無視してしまえば、

また同じ人生を繰り返すかもしれない、

そうすれば自分はきっと後悔する。」


「一度きりの人生。思い切り生きてみたい。」


そのような想いを大切にしようと思い決断しました。


有難いことに、会社側はこのような醜い去り方を受け入れ、

僕の気持ちを斟酌してくれました。


理解を示してくれた会社の方々とは、

今も尚、食事をご一緒させていただいたり

お付き合いをさせて頂いております。


ありがとうございます。


視界が開ける

「思い切って話してよかった。」


申し訳ない気持ちはあるものの、

視界が開けなんだか吹っ切れた気持ちが湧き起こりました。


「前に進んでいこう。」


会社には感謝しております。

上司や同僚にも恵まれ、比較的思い通りに仕事をさせていただきました。


最も成長できる30代の全てを過ごし、

本社でのマネジメントに加え、

関連会社での取締役や監査役を務めさせていただき、

社会人として豊かな経験をさせていただきました。


会社に戻れば休職前と同様に勝手知ったる組織の中で、

ある程度安定的な生活に戻ることはできたと思います。

ですが、それはもはや僕の望むところではありませんでした。


「自分らしく生きていく。」


それが僕の辿り着いた答えでした。


自分を裏切らずに、

自分をごまかさずに、

生きていきたい。


将来への不安は不思議とありません。

むしろ、自分自身でいられなくなってしまう可能性の方が

窮屈で息苦しく感じられます。


外聞や周りからの評価もあまり気になりません。

自分がちゃんと自分のことを理解してあげれば、

親しい友達や家族が自分のことを理解してくれれば、

それで十分に感じられます。


「自分の経験を伝えていこう。」

「マインドフルネスの可能性を伝えていこう。」


自分の中に湧き現れたこの生きがい感を大切に育てていきたい。

この生きがいと共に生きられるならきっとうまくいく。


幸せは、他でもない自分の中にある。


僕は覚悟を決め、

自分が挑戦してみようと思ったことをやっていこうと思うのです。


中途半端な結果では、お世話になった方々、ご理解いただいた皆様に顔向けできません。

覚悟を決めたからには、必ずや喜んでもらえるよう全力で取り組もうと思います。


不思議と気負いや力みはありません。

なぜならそれが僕のやりたいことだからです。


僕は齢42にして、人生のスタートラインに立った気持ちになりました。


「さあ、はじまりだ」


僕が上場企業を辞めた理由 〜幸せのありか〜


いよいよ最終章へ





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