何故アメリカ人は禅を選んだのか?松原正樹氏講話@建長寺

2019年6月20日、

梅雨の合間の気持ちの良い晴れの日。


建長寺応供殿にて、

コーネル大学東アジア研究所で教鞭を執られている

松原正樹師の講話を聞いて参りました。




建長寺



テーマは、

「何故アメリカ人は禅を選んだのか? 」


2016年、松原氏が、サンフランシスコの

タサハラ禅センターでお話しした日は、

奇しくもトランプ大統領が当選した翌日。


現地のアメリカ人からは、

今後の政治状況が不安で、


「どのように禅を生かすことができるのか?」


を真剣に問われたとのことでした。


アメリカ人は、禅やマインドフルネスを

「ツール」と捉え、

それをいかに日常に適応させることができるのかを模索し、

そこに生きるヒントなり答えなりを求めるようです。


私たちの普段の生活、日常生活。

貧困問題、資源問題、環境問題などの社会問題。


松原氏は、禅やマインドフルネスは

コインの裏表と表現されました。


日常生活と社会問題は繋がっていて、

禅やマインドフルネスは、

日常生活から社会問題を感じ、

捉え直すことができると説明されました。


果たして、そのような事ができるのでしょうか??


資源、環境、貧困

松原氏は、食事作法を通じて、このことについて説明されました。


例えば、禅の食事作法では、

料理したものを順番にみんなで分け合いながら

いただきます。


順番が最初の人は、たくさんご飯があるけれども、

順番が後ろの人たちが取る頃には、

分量が少なくなっていきます。


順番が早い人は、ご飯がたくさんあるからと言って、

たくさん取ってしまうと、

最後の人の分がなくなってしまうかもしれません。


ちゃんと順番が後ろの人たちの取る分量を

思慮しながら自分の分け前をいただく。


そのように自然と考えられるように

なることが大切ではないかと話されました。


コーネル大学の教え子たちを日本に連れてきて、

実際に自分達でご飯を炊いて、

みんなで料理を分け合ったところ、

最初の1巡目でご飯はなくなってしまい、

2巡目の人たちの料理が足りなくなってしまった

エピソードを披露いただきました。


すると、2巡目で食べそびれた人たちは、

そこから学び、自分達が1巡目で取る時には、

ちゃんと2巡目の人たちにも料理が行き渡るように考えて、

自分の分をいただくようになったとのことでした。


普段食事では、自分の分の食事が明確で

目の前にあるものを当たり前のようにいただきます。

「腹を満たす」自分のことだけを考えればよいわけです。


ところが、前述のような作法で食べることで、

「相手を思いやる気持ち」や

「人との繋がり」が生まれてきます。


そのように考えることができる人たちが増えていけば

廻り回って大きな社会問題を解決できる

きっかけになっていくのではないか、

というのが、禅の教えであり松原氏からの投げかけでした。


「一期一会。」


という言葉に集約されるのかもしれません。


一人一人に存在する一期一会だけを見れば、

その繋がりは2人だけのものかもしれません。


ですが、今、世の中に存在している

全員の一期一会を見ていけば、

それは全てが繋がっていくのではないでしょうか。


と松原氏は投げかけます。



松原正樹氏


松原氏は、建長寺の作務で、庭の草抜きをしている学生の

言葉に一つの光を感じたとお話しくださいました。


雑草の周りにいる虫に気づき、

人間の目から見ると雑草だけれども、

この雑草は虫にとっては必要な草なのではないか。


人間の目で見て無駄と思える雑草は、

本当はこの庭の中の生態系の中で考えれば、

必要な草だから、その草を抜くべきかどうか

迷ってしまう。


その学生は、草抜きという単純な作業の中から、

命の連鎖を感じ取り、自分達人間だけの視点で

物事を進めていくことに疑問を持ち

視野を広げ周囲との繋がりを認識するようになりました。






茶室で、茶器との別れを惜しんでいる時には、

目の前のものを大切に扱い、

愛おしささえ感じるようになり、

世界の人がものを大事にするようになれば、

資源の問題なども解決するかもしれないと

認識するようになりました。


社会問題という大きなテーマで括ってしまうと1人の力では、

どうにもならないことのように見えたり、思えてしまいますが、

一人一人の意識が変わっていくことで、

自分との関わり、周りとの関わり、環境との関わりが変わっていき、

それが大きな課題解決への糸口になる。


それが、禅が示す現在の諸問題へのアプローチである

と松原氏は示唆されました。


アメリカでは、未だ人種問題をはじめ、

トランスジェンダーや性差別の問題、

貧富の差、家庭内暴力、移民問題など、

様々な国内の問題があります。


これらは、アメリカに限ったことではありません。

日本を含め世界中に様々な問題が顕在化しています。


それらのことを禅というツールを使って

いかに解決への道筋を示していく事ができるかは、

我々一人一人の実践にかかってくるのだと思います。


周りを変えることはできない。

だけれども自分は変われる。


その変化の可能性に、

この難しい世の中を生き抜くためのヒントがあるように感じました。


今、あなたが口に頬張ろうとしている

そのご飯はどうして今あなたの口に入ろうとしているのでしょうか。


そのご飯が口に運ばれるまでのストーリーと繋がりを感じながら、

一口一口を味わってありがたく頂きたいものです。



建長寺龍王殿にて

#マインドフルネス #建長寺 #松原正樹 #禅


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